膵がんの予防のためには、膵がんの危険因子を知る必要があります。
以下が現在判明している膵がんの危険因子です。
膵がんの危険因子
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発症のリスク |
タバコ |
喫煙によりリスクは1.5~2倍になります。 |
年齢 |
60歳以上の高齢者に多く発症します。 |
家族歴 |
親子・兄弟姉妹に2人以上膵がん患者様がおられる場合リスクは2倍になります。 |
肥満 |
肥満の方は、リスクが1.2倍になります。 |
糖尿病 |
糖尿病があるとリスクは1.5~2倍になります。膵がんの初期症状である場合もあります。 |
食事 |
明確ではありませんが、多量の肉はリスクを増大させ、野菜類はリスクを低下させます。 |
ご両親・兄弟姉妹の中に2人以上膵がんの方がおられる場合は発症リスクを考慮する必要があります。
生活習慣の改善
まずは日常から予防を図ることが大事です。以下が推奨されます。
1)禁煙
2)適度に運動する。
3)肉を減らし野菜を増やした食事をする。
4)肥満にならないようにする。
5)糖尿病にならないようにする。
上記の2)、3)は4)、5)に関連しますので、1)、2)の実践が大事です。
喫煙は膵がんに限らず他のがんの危険因子ですので禁煙は是非とも考慮してください。
その他に、深酒は慢性膵炎の原因となり膵がんの誘因になりますので飲酒は適量としましょう。
その他、がんに対する免疫力を高める食事として、キノコ類があります。
にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜やトマトなどは酸化ストレスという組織障害(平たく言えば細胞が錆びるようなものです)を防ぎ、持続的組織障害から癌ができることを防ぎます。
医療機関受診について
膵がんの危険因子を述べましたが、胃癌とピロリ菌、肝がんと肝炎ウイルスというような膵がんに強く結びつくような危険因子は明らかとなっていません。上記の喫煙、食事、肥満などを改善しても膵がんは発生します。
そこで適切な医療機関での検査が必要です。膵がんを発見する検査として超音波検査と造影CTがあります。造影CTは血管内に造影剤という臓器のコントラストを上げる薬剤を注入して撮影するCT検査で、膵がんの治療において中心となる検査です。しかし、造影剤による副作用(アレルギーなど)や放射線被爆の問題があり健診で毎年行うような検査ではありません。
まずは気になった時に医療機関を受診し、簡便な超音波検査を行い、問題があれば造影CT検査を行うことが必要です。
膵がんの自覚症状として腹痛、背中の痛みがありますが、これらの症状は他の病気でも生じますし、早期の膵がんの場合は無症状ですので医療機関受診の判断は非常に困難です。ほかの病気の検査で偶然発見されることも多く、まずは心配であれば受診するという考え方でいかざるを得ないのが実状です。
現状では膵がんの予防・早期診断のための決め手はありませんが、一つの選択枝として下記に述べる「マイクロRNA」を用いた血液検査法があります。