健診などで血圧に異常が指摘された場合はまず外来を受診して頂き、以下が行われます。
- 血圧測定
- 診察室での血圧より、自宅の血圧値が重要です。
上の血圧(収縮期血圧)が特に重要です。上の血圧(収縮期血圧)が血管への負担を示します。
下の血圧(拡張期血圧)を下げることも大切ですが、実際には上の血圧(収縮期血圧)の方が血管への負担・障害により関係するため、上の血圧(収縮期血圧)を下げることが優先されます。
日常の血圧測定は以下の2ポイントでの測定が推奨されます。
- 朝。朝食前及び降圧剤内服前
- (降圧剤内服前が最も血圧の薬の濃度が低いため、この時点での血圧が低ければ1日の間の血圧コントロールがよいことが推察されます。)
- 夜。ねる前で、剤1~2分安静の後
- (最もリラックスしている状態での血圧が推察できます)
ガイドラインでは2回測定して平均をとることが推奨されておりますが、実際には1回のみの測定でも可です。特にお仕事などで忙しい方は朝2回は大変だと思いますので、1回でもよいとご理解いただいて支障ありません。
高血圧は基本的に無症状です。高血圧の治療の目的はその方にあった最善の血圧の状態を日々保ち、長期間放置することにより生ずる動脈硬化、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞などを予防することです。
血圧管理の目標は以下の通りです。
【降圧目標(高血圧治療ガイドライン2019年版より抜粋)】
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診察室血圧(mmHg) |
家庭血圧(mmHg) |
75歳未満の成人
血管狭窄等がある脳血管障害
糖尿病患者
その他(*) |
130/80未満 |
125/75未満 |
75歳以上の高齢者
血管狭窄等がない脳血管障害その他(*) |
140/90未満 |
135/85未満 |
(*):詳細は高血圧治療ガイドラインをご参照ください。
以上のように、年齢とその方のもっている病気のリスクに合わせた血圧の目標が設定されております。
※高齢者の方や腎臓や心臓が悪い方の場合は無理に血圧を下げると脳や腎臓や冠動脈の血流が低下し、かえって危険になる場合があります。そのような方の場合、目標血圧はあくまでも目安であることにご注意ください。
- 実際の治療
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血圧を下げるための診療の基本は生活習慣の改善で、それでも目標値に下がらなければ薬(降圧剤)が処方されます。
- 1、生活習慣改善
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これが何にも増して重要で、第一の治療となります。下記が助言の目安です。
- ①1日6g未満の食塩制限
- ②野菜・果物の増量と脂肪食の減量
- ③適正体重の維持(BMI<25が目標)
- ④運動(毎日30分の有酸素運動)
- ⑤アルコール制限(男性では1日あたり日本酒1合orビール大瓶1本or焼酎0.5杯orワイン1/4以下、女性はその半分ほどが目安)
- ⑥禁煙
- 2、薬物療法
- 上記の生活習慣の助言によっても目標値まで血圧が下がらなければ降圧剤を使用します。最初は1剤から開始し、通常は朝飲むだけなので簡単です。
1か月以上内服しても十分に血圧が下がらなければ薬剤を変更したり他の剤を併用したりします。
血圧が安定し、その血圧が長期間保たれている場合は、薬の内服を中止できる可能性も十分あります。
1日1回程度の内服と、1~3か月に1回程度の外来受診をして重大な病気を予防しましょう。
※当院では血管年齢の測定や超音波検査による血管の評価も行いつつ血圧管理のお手伝い致します。